オーディオブックで自分に効果的な「読み聞かせ」をするためにできる工夫とは
便利ゆえに、ついつい「聞き流すに任せてしまう」オーディオブック
以前の記事で、オーディオブックにはさまざまなメリットがあることを書きました。
その大きなものとして、「聴覚以外は占領しない。目や手は別のことをしていても読める(再生できる!)」というものがあります。
確かにオーディオブックは五感に負担をかけずに学習できる素晴らしい教材でもあります。しかしその一方便利さに任せてただ「再生」していればいいというものでもありません。
私の友人(遠距離通勤で渋谷まで通っている人です)でオーディオブックを最近利用し始めたサラリーマンの男性があるのですが、「確かに便利で、良いとわかってて電車の中で聞くんだけれども、すわったままイヤホンから聴いているとつい眠くなって、寝てしまうんだよね…これでも効果あるのかな(笑)」と言われたことがあります。
さすがに「寝ちゃうのはちょっときついと思うよ・・・」と答えざるを得ませんでした。
潜在意識経由での学習だけをあてにはできない
オーディオブックは、確かに何となく「ただ聞き流している」だけでも何もしないよりは全然いいと思います。
またうとうとしてしまったりBGMのような状態になってしまったとしても「なんとなく刷り込まれている」という効果はそれなりに期待できますし、「どこかで聞いているので潜在意識には入っていて、何かしら将来メリットがあるから…」という期待もできるでしょう。それが聴覚というものです。
しかし、「ただ聞いているだけでも無意識を経由してその知識はいかされるはずだ!」というのではちょっと悲しすぎます。
そこまで余裕のある学習をできる環境の人はそれほど多くはないはずです。
皆さんは学校の授業を受けているときの苦痛を覚えていますか(笑)?
およそ人の話を「ただじっとして、聞かされる」ほど苦痛なことは本来ありません。
すぐに眠気に襲われてしまったのを覚えている人も多いと思います。
本来「ただ聴くだけ」という行動で前向きに集中が続き、何かが身につくということは(興味のある分野以外では)期待しすぎてはいけないのです。
学校で先生から聞かされていることを身につけるには、黒板に目を走らせ、手を動かしてノートに写すという行為(刺激)もテコになっているのは事実です。
「繰り返しいくらでも聴く余裕があるよ!」「繰り返し聴くことで学習するような内容なんだ」というケースを除けば、やはり「聴くこと+α」の何かをしてあげたほうが、自分に効果的に内容を刷り込んでいけると思います。
限られた時間と「聴く回数」で効果を高めるために
もし「できるだけ繰り返し聴くことに頼らず(時間を節約しつつ)、質の高い内容を自分に取り込みたい!」という場合は私は自分の経験と感覚から「2つの工夫」をお勧めします。
- 再生速度を早めて聴いてみる
日常会話の速度だと何となく慣れて脳が安心してしまい、逆に緊張が解けて眠くなってしまいます。
1.5倍速~2倍速で再生していくと脳が「おやっ?」と思い聴覚に神経を集中してくれます。
そして「何とか流れについていこう」として必死に脳が働きます。少々疲れるので運転中などにはお勧めできないのですが、等倍でダラダラ聞くより意外と「終わったら妙に頭に入っている」ということが多いように思います。
もちろん聴くことをあきらめてしまうともちろん眠くなるのですが(笑)、できるだけついていけるぎりぎりの速度で聴いていくと脳の認知機能も高まり、集中して聴くことが可能です。
場合によっては「等速で1回聴くより、倍速で2回聴いたほうが頭に入った」というケースもあるかもしれません。
- 聴くことに合わせて言葉にしてみる(口だけでも動かす)
これは倍速などでは難しいので、等速かそれ以下で聴く場合に限られますが有効な方法です。
私は学習塾に勤めていたこともあるのですがお経にしても子供の学習にしても、言葉を暗記していく際は「耳と脳」だけではなかなか身につかないものです。
他の器官を働かさずにただ「聴く」という行為だけで内容を「気合いで脳に叩き込む(笑)」ということは子供にはまず「不可能」です。 鉛筆を走らせ、口で復唱し、黒板に目を走らせるという「複合的に器官を使う」ことによって習得していくわけです。
これは大人でも何も変わりません。
厳しい言い方ですが電車の椅子に座って、ただ等速でぼーっと聴いているだけでは眠くなるのは生理的に当然ですし、少なくとも「一度で内容を深く理解して身につける」ということは望みにくいものです。
そこでおすすめなのが「口で復唱すること」です。
と言っても電車の中であれば言葉に出してしまうと「変な人認定」されてしまいますので(笑)、たとえば「音には出さないが口の筋肉だけでも動かしておく(この刺激が大事なのです)」「キーワードとなる部分の言葉だけでも(声に出さなくても)口ずさむようにする」というものです。
多少時間やオーディオブックを聴く回数が限られていても、こうした向き合い方をすることで「質の高い学習をする」ことが可能になっていきます。
自分なりの「向き合い方」「工夫」を、試行錯誤しながら何かは持ちたいものです
いかがでしたか?
今回は少し「何かこういう聴き方をすると疲れそうだな・・・」というような内容だったかもしれません(笑)。
もちろんオーディオブックを聴く目的やシチュエーションは様々です。
「家事をしながら、何となく何度でも聞き流せる」という人もいますし、
「ノートをとりながら正式に学習できる」という人もいますし、
「聴いているだけでも刺激になるし時間を無駄にしたくないのでともかく流しておきたい」というタイプの人もいますし、
「限られた時間で、電車の中で勉強したい」という人もいます。
今回はどちらかというと最後の「限られた時間の中で最大の効果を得たい」という人向けの工夫で、それ以外の場合はもちろん、無理をして取り入れる必要のない習慣だと思います。
ただ、もし「限られた時間の中で勉強をしたい、人生を変えたい」ということでオーディオブックを活用していくのでしたら、こうした工夫も一考してみてはいかがでしょうか?
今回も読んでいただき、ありがとうございました。